どうも!ぶっさんです。
第74回 診療放射線技師国家試験 午前 1-4を解説していきます。
科目は放射化学です。
この科目は暗記になりがちで、ある程度知識がないと何を言ってるのかすらわからない状態にもなってしまいます。
しっかりとキーワードを理解して、知識のステップアップをしていきましょう。
- 元素記号と元素名
- 放射性壊変
- 放射性核種の共沈法
- 標識化合物の生合成法

試験のスタートは放射化学!焦らず、しっかり理解していこう。
第74回午前-1 元素記号と元素名
1.元素記号と元素名の組合せで正しいのはどれか。
- Cuークロム
- Geーガリウム
- Ceーセレン
- Luールテチウム
- Taータリウム

いきなり解説の難しい問題が来ましたね。消去法で説いてもOKだよ。
消去法でわからない場合は… 捨て問!!

設問の元素記号と元素名を元素表に当てはめてみました。
この手の問題は覚えるしかないです。
ただ、Cuが「銅」だったり、Gaが「ガリウム」っていうのは大丈夫かな?
現段階でわからなくても、数年分の過去問を説いていくと自然に覚えたりするから心配しないで大丈夫だよ。
今回の選択肢にどうしてもわからないものが多くあっても悩まなくてOKです。
200問のうち、たった1問です。覚える時間と労力を考えると「捨て問」にしても大丈夫!!
次に行きましょう!
第74回午前-2 放射性壊変
2.放射性壊変について正しいのはどれか。
- α壊変では原子番号が変化しない。
- β+壊変では質量数が1つ減少する。
- β–壊変では原子番号が変化しない。
- 軌道電子捕獲では質量数が変化しない。
- 核異性体転移では原子番号が1つ増加する。

放射性壊変はそれぞれの特徴を理解しておこう。毎年出てる問題。確実に正解しよう。
放射性壊変の種類と特徴
今回、出題された放射性壊変についてまとめてみます。

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α壊変
α壊変は、親核種の原子核からHe原子核(α粒子)を放出する現象です。
この過程によって、元の原子核の質量数は4減少し、原子番号は2減少します。
α壊変は、比較的質量数が大きい原子核で起こります。
放出される放射線はα線で、その正体はHe原子核となります。
β壊変
β壊変は、原子核内の中性子もしくは陽子が壊変する現象です。
さらに細かく3種類に分類されます。
- β−壊変
- β+壊変:陽子が陽電子を放出し、中性子に変化する場合
- 軌道電子捕獲(EC):陽子が軌道電子を捕獲し、中性子に変化する場合
β−壊変は中性子が陰電子を放出し、陽子に変化する現象です。放出される放射線はβ−線と中性微子(ニュートリノ)です。この過程では、原子番号のみが1増加します。
β+壊変は陽子が陽電子を放出し、中性子に変化する現象です。放出される放射線はβ+線と中性微子(ニュートリノ)です。この過程では、原子番号のみが1減少します。
軌道電子捕獲(EC)は陽子が軌道電子を捕獲し、中性子に変化する現象です。放出される放射線は特性X線と中性微子(ニュートリノ)です。この過程では、原子番号のみが1減少します。
核異性体転移(IT)
核異性体とは、同じ元素であっても内部構造が異なり、核反応を起こしやすい原子核のことをいいます。核異性体転移は、このような核異性体が安定な同位体に変換する現象です。この過程では陽子数と原子番号は変化しません。放出される放射線はγ線です。
第74回午前-3 放射性核種の共沈法
3.放射性核種の分離で正しいのはどれか。
- 補集剤は担体の一種である。
- 同位体担体は化学的に分離できる。
- 保持担体は共沈させるために加える。
- スカベンジャは目的核種を沈殿させる。
- トレーサ量では担体を加える必要はない。
解なし問題 ※「補集剤」が「捕集剤」であれば1が正解

勉強を妨げる「解なし問題」…。共沈法について解説していくよ。
共沈法と担体
ある放射性元素「A」と「B」があったします。これらが極微量ずつ水溶液中に溶解しており、「A」の元素のみを抽出したいとします。ここでは、「A」はアンモニア水と反応し、通常の化学式では沈殿を生じるとします。

共沈法での担体の名称は、役割によって変わってきます。
目的となる放射性元素と一緒に沈殿させる役割であれば「捕集剤」。
目的でない放射性元素を溶液中に引き止める役割であれば「保持担体」。
目的ではない放射性元素を沈殿させる役割であれば「スカベンジャ」。
また、担体が放射性元素と同じ元素の場合は「同位体担体」となり、抽出後には放射性元素と非放射性元素を化学的に分離することはできなくなります。
第74回午前-4 標識化合物の生合成法

あまり出題されたことがない「生合成法」。生合成法についてどんなものかを理解しておけばOKだよ。
生合成法とは
生合成法とは、生物の代謝を利用した化合物の標識方法のひとつです。
例えば、放射性同位体標識されたグルコースを生物に与えることで、放射性同位体標識された炭水化物が生合成されます。
生合成法のメリットとデメリット
- 標識化合物は、生物内で自然に存在する化合物(タンパク質など)と同様の性質を持つ
- 標識化合物を用いることで、化合物の代謝経路を追跡することができる
- 生成された化合物は低比放射能となる
- 生成が不安定である。
まとめ

今回は放射化学を勉強したね。理解したら必ず点数がついてくるから頑張ろうね。
- 元素記号と元素名
- 放射性壊変
- 放射性核種の共沈法
- 標識化合物の生合成法
全体の難易度はやや易しいと思います。
過去問一巡目だとちんぷんかんぷんって人もいるかも知れないけど、大丈夫です。
やれば必ず点数になる科目なので、何度も解いてしっかり理解しよう。