【徹底解説】第74回 診療放射線技師国家試験 午前 その2(5-9)【診療画像機器学】

国家試験解説

どうも!ぶっさんです。

第74回 診療放射線技師国家試験 午前 5-9を解説していきます。
科目は診療画像機器学です。
今回、解説する問題は以前は「画像工学」で分類されていたりした問題もあります。
時代の流れで、”機器”として認識されたと考えていいんじゃないでしょうか。

覚えるキーワードが多めだけど、しっかり理解していこう。

学習内容
  • 焦点外X線
  • X線装置の総ろ過
  • LCD(液晶モニタ)
  • CR装置
  • 焦点-被写体距離の計算
ぶっさん
ぶっさん

出題されている問題は結構基本的なことを聞いてるよ。落ち着いて解いてみよう。

第74回午前-5 焦点外X線

5. 焦点外X線で正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. 陽極の全体から発生する。
  2. 画像のコントラストを低下させる。
  3. 線質は焦点近傍ほど光子のエネルギーが高い。
  4. 集束電極で集束されなかった電子のため生じる。
  5. 発生する量は回転陽極よりも固定陽極の方が多い。
ぶっさん
ぶっさん

焦点外X線の発生の仕組みを理解すると、特徴を覚えていなくても回答できるよ。

焦点外X線の発生の仕組み

ぶっさん
ぶっさん

簡単に通常のX線発生の仕組みを復習してみよう。

  1. 管球内のフィラメント(陰極)から電子が高速で発射されます。
  2. 高速電子がターゲット(陽極)に衝突し、X線が発生します。

 

一方、焦点外X線はターゲットに衝突した電子によって発生した二次電子が原因となります。
この二次電子が焦点以外のターゲットに再度衝突すると、焦点外X線が発生します。

焦点外X線の特徴
  • 画像に”かぶり”を与えるため、コントラストを低下させる。
  • 発生頻度は焦点付近で最も多い
  • 線質硬化(ビームハードニング)の影響のため、線質は焦点から離れるほど硬質となる。
  • 回転陽極管では焦点面積が大きくなるため、固定陽極管よりも多く発生する。

 

第74回午前-6 X線装置の総ろ過

6. X線源装置の総ろ過を増加させたときの変化で正しいのはどれか。

  1. 半価層は薄くなる。
  2. X 線量は少なくなる。
  3. 線質指標は低くなる。
  4. 実効エネルギーは低くなる。
  5. 被写体コントラストは高くなる。
ぶっさん
ぶっさん

”総ろ過”というワードをしっかりと覚えておこう。

X線装置の総ろ過

X線装置の総ろ過は次のように表されます。

総ろ過固有ろ過付加ろ過

固有ろ過:X線が透過するX線管装置の構造体で取り外しできない物質(絶縁油や放射窓)による

付加ろ過:AlやCuなどでできた着脱可能な付加フィルタによる

ぶっさん
ぶっさん

つまり「総ろ過を増加させる」ことは「付加ろ過(フィルタ)を増加させる」こと。

付加フィルタを増加させると、X線には次のような変化が起きます。

  • 実効エネルギーが高くなる。
  • X線量が少なくなる

ここで、問題の選択肢を見てみましょう。
上記の2点の影響を照らし合わせてみます。

  1. 半価層は薄くなる。←実効エネルギーが低なったとき
  2. X 線量は少なくなる。
  3. 線質指標は低くなる。←実効エネルギーが低なったとき
  4. 実効エネルギーは低くなる。
  5. 被写体コントラストは高くなる。←実効エネルギーが低なったとき

選択肢「2」以外は実効エネルギーが低くなったときのことが書かれています。

 

第74回午前-7 LCD(液晶モニタ)

7. LCDで正しいのはどれか。

  1. CRT と比べて消費電力が大きい。
  2. 大画面になると幾何学的歪みが発生する。
  3. スクリーンセーバーは画面の反射防止に有用である。
  4. 医用画像モニタの表示階調にはGSDFが用いられる。
  5. ランダムノイズの主な原因はピクセル間の輝度のばらつきである。
ぶっさん
ぶっさん

ひと昔前は「画像工学」で出題されていたよ。出題科目が変わっても問題のレベルは一緒だよ。

LCD(液晶モニタ)とCRT(ブラウン管)

医用画像を表示するモニタについてみてみましょう。

現在の主流はLCD(液晶モニタ)となります。
これは家庭用テレビからも想像はできます。
一方、ひと昔前はCRT(ブラウン管)が主流でした。

ぶっさん
ぶっさん

もうすぐブラウン管すら見たことがない学生が多くなってくると思うと世代を感じてしまう…

それぞれの特徴をまとめましょう。

LCD(液晶モニタ)
  • Liquid-crystal Displayの略語
  • CRTに比べて消費電力が少ない
  • 画面が平面のため幾何学的な歪みがない
CRT(ブラウン管)
  • Cathode-ray Tube(陰極線管)の略語
  • 画面の焼付防止の為にスクリーンセイバーが有効
  • 画面が湾曲しているため幾何学的な歪みがある
  • 重たいスペースを取る欠点がある

 

出題にある「GSDF」はグレースケール標準表示関数の略語で、医用画像表示モニタの表示階調です。
表示階調とは入力信号に対してモニタがどのくらいの明るさを出力するか表したものです。
LCDの問題でよく見るキーワードなので覚えておこう。

 

「5.ランダムノイズ」の主な原因は電気的なゆらぎです。

 

第74回午前-8 CR装置

8. CR装置で正しいのはどれか。

  1. ダイナミックレンジはFPDよりも狭い。
  2. 輝尽励起光の波長は400nm程度である。
  3. 乳房撮影用の画素サイズは100μm程度である。
  4. フェーディング現象は輝尽発光量に影響しない。
  5. 両面集光方式は片面集光方式よりも輝尽発光の集光効率が高い。
ぶっさん
ぶっさん

施設によってはCRからFPDに置き換わっているけれど、まだまだ現役だよ。

CR装置の特徴

CR(Computed radiography)装置は単純X線画像では欠かせない存在です。
ここでは、CR装置の特徴をまとめてみましょう。

CR装置の特徴
  • 照射されたX線を輝尽性蛍光体に蓄積する
  • 広いダイナックレンジ(少ない線量から非常に多い線量まで画像にできる)をもつ
  • 画像表示のリアルタイム性はない
  • 様々な画像処理(エッジ強調・差分処理・感度調整)が容易である
  • フェーデイング(照射から読み取りまで時間がたつと発光量が低下する)がある
  • 画素サイズは一般撮影用で100〜150μm乳房撮影用では50μm

FPD(フラットパネルディテクタ)と似ている特徴があるけど、違いをしっかり理解しておきましょう。

 

輝尽性蛍光体の読み取り

輝尽性蛍光体はよくイメージングプレート(IP)と現場では呼ばれます。
CR装置の特徴に合わせて、輝尽性蛍光体の読み取りについて覚えておきましょう。

輝尽性蛍光体の読み取り
  1. 読み取る輝尽性蛍光体に赤色光(633nm)のレーザーを照射する
  2. 照射されたX線量に比例した青紫色光(400nm)の発光をする
  3. 発光した青紫色光をデジタル変換し画像化する
  4. 読み取り後は白色光を当てると輝尽性蛍光体の画像が消去される

ここでは3種類の光が出てくるのでそれぞれの役割をしっかり理解しておこう。


今回、出題された両面集光方式とは輝尽性蛍光体の裏面からもデータを読み取る方式です。
同じ発光量でも収集できる光の量が単純計算で2倍になります。
原理的には少ない線量でも収集できるデータ数を保てるので、照射線量を低くすることも可能と言われています。

 

第74回午前-9 焦点-被写体距離の計算

9. 図に示す受像器から離れた位置にある点Tを受像器X軸中心より左右に各5cm移動させた焦点位置a、bで撮影したところ、画像A、B上の異なる位置に投影された。
点Tの受像器面からの距離[cm]に最も近いのはどれか。
ただし、受像器は固定、焦点は点焦点、焦点受像器間距離は100 cm とする。

  1. 7.2
  2. 9.1
  3. 11.8
  4. 13.7
  5. 16.7
ぶっさん
ぶっさん

うーん…この問題の図はちょっと不親切な感じだよね。誤解を招くんじゃないかなぁ…

焦点-被写体距離の計算

この問題は、おそらくステレオ撮影の焦点-被写体距離の計算だと思います。
X軸上に立って焦点a・b、点T、画像A・Bをそれぞれの場合で真横から見てみましょう。

焦点a・bからそれぞれ撮影したときの真横からみた図を一番右に示しています。
今回求める点Tの受像器面からの距離X[cm]とすると、以下の通りになります。

1:10 = X:(100 – X)
10X = 100 – X
11X = 100
X = 9.09…
X ≒ 9.1

ぶっさん
ぶっさん

問題の図を見ると、点TはXY軸の交差軸上にあるように誤解してしまうよね。

 

まとめ

ぶっさん
ぶっさん

今日もお疲れ様!最後は締りが悪かったけど、機器学について少し理解できたかな?

学習内容
  • 焦点外X線
  • X線装置の総ろ過
  • LCD(液晶モニタ)
  • CR装置
  • 焦点-被写体距離の計算

今日の学習内容の難易度は標準だったと思います。
機器は日々進歩しています。
構造や特徴は新しいものと従来のもので比較しながら覚えると理解がしやすいです。

タイトルとURLをコピーしました